「ライブ配信を始めたいけど、機材って高そう…」 「あまりお金をかけずに、そこそこキレイな画質で配信する方法はないかな?」
ライブ配信を始めるにあたって、多くの方が最初に直面するのが機材選びと予算の問題です。プロのような高価な機材を揃えなくても、実は予算5万円程度でも、工夫次第で十分に視聴者を満足させられるクオリティのライブ配信環境を構築することが可能です。
この記事では、一般社団法人ライブストリーミング協会の知見を活かし、予算5万円で高画質(フルHDレベル)かつクリアな音声を目指すための具体的な機材構成例と、セットアップのポイントをPCベースとスマートフォンベースの2つのパターンでご紹介します。
(※価格は2025年5月現在の目安であり、変動する可能性があります。また、PCやスマートフォン本体の費用は含みません。)
予算5万円で目指すクオリティとは?
今回の目標は以下の通りです。
- 画質: フルHD (1920×1080ピクセル、1080p) を目指します。視聴者にとってストレスのない滑らかな映像が理想です。
- 音質: 聞き取りやすいクリアな音声。ノイズが少なく、声がこもらない状態を目指します。
- 安定性: 長時間配信しても途切れたり、フリーズしたりしにくい安定した環境。
手持ちのPCやスマートフォンの性能も影響しますが、これらを活用しつつ、追加機材でクオリティアップを図ります。
【PCベース】予算5万円 おすすめ機材構成例
比較的高機能な配信や、ゲーム実況などを考えている方向けの構成です。
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ウェブカメラ (約5,000円~15,000円)
- 選定ポイント: フルHD (1080p)対応、30fps以上、オートフォーカス機能、ある程度の画角の広さ。
- おすすめモデル例:
- Logicool C922n Pro Stream Webcam: 定番モデル。1080p/30fpsまたは720p/60fpsに対応。背景除去機能も。
- Anker PowerConf C200: 2K対応で画質に余裕あり。オートフォーカスも高速。プライバシーシールド付き。
- Razer Kiyo X: フルHD対応。リングライト一体型モデル「Kiyo」のライトなし廉価版。画質は良好。
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USBマイク (約5,000円~15,000円)
- 選定ポイント: 単一指向性(カーディオイド)、ポップガード付属または別途購入、ヘッドホン出力端子付き(自身の声を確認できる)。
- おすすめモデル例:
- Audio-Technica AT2020USB-X (または旧モデルAT2020USB+の中古): クリアな音質のコンデンサーマイク。
- HyperX SoloCast: コンパクトで高音質。タップミュートセンサー付き。
- FIFINE K688: XLR/USB両対応のダイナミックマイク。ショックマウント・ポップフィルター付きでコスパ高。
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LEDリングライト (約3,000円~8,000円)
- 選定ポイント: 直径20cm以上、三脚付き、調光(明るさ調整)・調色(色温度調整)機能付き。USB給電タイプが手軽。
- おすすめモデル例:
- UBeesizeやNeewerなどのブランドから多数販売されています。Amazonなどでレビューを参考に選びましょう。
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(オプション)キャプチャーボード (ゲーム機映像などを取り込む場合) (約10,000円~20,000円)
- PC画面やウェブカメラ映像のみの配信であれば不要です。
- 選定ポイント: HDMI入力、USB接続、低遅延パススルー機能(ゲーム画面を遅延なくモニターに出力)。
- おすすめモデル例 (エントリー):
- AVerMedia Live Gamer MINI (GC311): 1080p/60fps録画・配信対応。シンプルで扱いやすい。
- TreasLinなどの廉価ブランド品: 1万円を切るものもありますが、安定性や画質はレビューをよく確認しましょう。
残り予算 (約2,000円~17,000円): マイクアーム、USBハブ、延長ケーブル、小型グリーンバックなど、必要に応じて。
【スマートフォンベース】予算5万円 おすすめ機材構成例
手軽さを重視し、屋外や移動しながらの配信も考えている方向けの構成です。
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スマートフォン用マイク (約5,000円~15,000円)
- 選定ポイント: スマートフォンの接続端子に適合(Lightning, USB Type-C)、ウィンドスクリーン付属、単一指向性。
- おすすめモデル例:
- Shure MV88+: iOS/Android対応(ケーブル変更)。ステレオ録音、指向性変更可能。専用アプリも優秀。
- Rode VideoMic Me-L (iPhone用) / Me-C (USB-C用): コンパクトなショットガンマイク。狙った音を拾いやすい。
- Comica Vimo C: ワイヤレスピンマイクシステム。スマホから離れてもクリアな音声を確保。
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スマートフォン用ジンバルまたは多機能三脚 (約5,000円~15,000円)
- 選定ポイント:
- ジンバル: 手ブレ補正機能、各種撮影モード(顔追跡など)。
- 三脚: 安定性、高さ調整、雲台の自由度、リモコン付きだと便利。
- おすすめモデル例:
- DJI OMシリーズ (型落ちモデルや中古なら予算内): 高性能ジンバルの定番。
- Hohem iSteadyシリーズ: 比較的安価で多機能なジンバル。
- UlanziやSmallRigなどのブランドの多機能卓上三脚/自撮り棒。
- 選定ポイント:
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スマートフォン用LEDライト (約3,000円~8,000円)
- 選定ポイント: クリップ式またはシューマウントでスマホやジンバルに固定可能、充電式、調光・調色機能。
- おすすめモデル例:
- Ulanzi VL49 RGB: 小型でRGB調色も可能なLEDライト。
- VIJIM VL120: 色温度調整と明るさ調整が可能なパネル型LEDライト。
残り予算 (約12,000円~37,000円): モバイルバッテリー、広角・望遠などのスマホ用コンバージョンレンズ、配信用アプリの有料機能など。
セットアップのポイントとコツ
- 照明は最重要: 顔が明るく映るだけで印象は格段に良くなります。リングライトは顔の正面やや斜め上から当てるのが基本。部屋の照明も活用しましょう。
- カメラアングルと背景: カメラは目線の高さか少し上から。背景はできるだけシンプルに整理整頓するか、バーチャル背景やグリーンバックを活用。
- マイクの位置: 口元から15~30cm程度の適切な距離に設置。近すぎると息がかかりやすく、遠すぎると環境音を拾いやすくなります。
- 配線はスッキリと: ケーブル類がごちゃごちゃしていると見た目も悪く、トラブルの原因にも。ケーブルタイなどでまとめましょう。
- テスト配信は念入りに: 必ず事前にテスト配信を行い、画質、音質、フレームレート、配信の安定性を確認しましょう。
コストを抑えるためのさらなるヒント
- 手持ち機材の活用: まずは今持っているPC、スマホ、イヤホンマイクなどで試してみましょう。
- 中古品や型落ちモデル: フリマアプリや中古ショップを賢く利用すれば、高性能な機材を安価に入手できることも。
- セールやキャンペーン: Amazonのタイムセールや各メーカーのキャンペーン時期を狙うのも手です。
- DIY: ちょっとした吸音材や背景などは、100円ショップのアイテムなどで自作することも可能です。
まとめ
予算5万円という制限の中でも、ポイントを押さえて機材を選び、工夫してセットアップすることで、十分に視聴者を惹きつけるクオリティのライブ配信は実現可能です。最初から完璧を目指す必要はありません。まずは最低限の構成からスタートし、配信を続けながら本当に必要なものを見極め、少しずつ機材をアップグレードしていくのがおすすめです。
一般社団法人ライブストリーミング協会では、機材選びに関するワークショップや、会員向けの相談窓口なども将来的に検討しています。この記事が、あなたのライブ配信ライフの第一歩を後押しできれば幸いです。
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